ルノーとの対等関係を勝ち取った日産

日産がルノーの傘下に入ったのも、実は経営危機に陥っていたことが原因でした。このときルノーから派遣されたカルロス・ゴーン氏が、その手腕で日産の経営をよみがえらせます。その後、ゴーン氏は2018年11月に逮捕されたことは記憶に新しいところでしょう。

危機から脱却し販売台数などでルノーを上回る日産は、ルノーと対等な関係を求めるようになります。日産もルノー株式を保有していましたが、その出資割合は15%とルノーの日産に対する割合(同43%)を大きく下回っており、また日産はルノーに対する議決権を行使できない状況でした。

日産はルノーと交渉を進め、ついに2023年1月、ルノーが日産株式を15%程度になるまで信託会社へ移し、議決権を手放すことで合意します。互いの出資比率が15%でそろうことで、日産はルノーと実質的に対等関係を得ることとなりました。これに伴い、日産はルノーに対して議決権の行使が可能となります。

また、ルノーが日産株式を売却する場合、その譲渡先は日産を筆頭とすることも決められました。今後、日産は信託されたルノーの日産株式を段階的に買い戻すと考えられます。日産は当初から買い戻しを検討していたとみられますが、今後は同社の財務について注目が集まりそうです。

【日産自動車の業績】

※2023年3月期(予想)は、第3四半期時点における同社の予想

出所:日産自動車 決算短信

【日産自動車の株価】

Investing.comより著者作成

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