高齢になってからの「資産運用」どう考える?

そして、この数字を見て思うのは、高齢者になってからの資産運用を私たちはどう考えればいいのか、ということです。昨今の資産運用関連の本、あるいは記事などで言われている方法は、あくまでも資産形成層向けの内容が中心で、すべての層に当てはまる訳ではありません。

「長期・積立・分散投資」と金科玉条のごとく言われていますが、果たして70歳代、80歳代になった時、我々はどのような資産運用をすればいいのでしょうか。いつかは誰もが年齢を重ね、高齢者になるので、その時手元にある資産をどのように運用すべきか、今のうちからじっくりと考えていく必要があるように思えます。

先ほどのつみたてNISAの話でも分かるように、70歳代、80歳代の人にとっては、長期で資産を積み上げていくような運用は、決して合理的ではありません。なぜなら、残された時間が非常に短いからです。

かといって、短期売買が正しいとも言えません。株式やFXの短期売買は、基本的に投機に近い性質ですし、投資信託は短期で購入・解約を繰り返すような商品性を、そもそも持ち合わせていないからです。

投機的な取引で保有資産の大半を失うようなことにでもなれば、残された短い時間とはいえ、「今後の人生どうすればいいんだろう……」と頭を悩ませながら、人生設計そのものを大きく見直さざるを得なくなってしまいます。

そうしたことを踏まえると、高齢者にとってよい資産運用の方法なのではないかと思えるのは、やはり「継続的にキャッシュフローが得られる商品」でしょう。

利息、分配金、配当金のどれでも構わないのですが、安定したキャッシュフローが定期的に得られて、それが相応に大きな金額であれば、保有資産を大きく取り崩すこともなく、老後の生活に必要な資金を確保できます。

高齢になってからの資産運用は、「いかに投資した資金を大きく増やすか」よりも、「継続的・安定的にキャッシュフローが得られるか」という点を重視して、戦略を建てる必要があると言えるでしょう。