NISAを使ってない人は“こんなに”いる

また、同レポートでは「各世代の人口に占めるNISA口座数割合」をグラフで示していますが、これを見ても、まだまだNISAが広く浸透していないことが分かります。NISAがスタートしたのは2014年1月のことで、かれこれ9年の歳月が経過していますが、それでも各世代にわたり、口座未開設の割合が非常に高くなっています。

ちなみに同レポートでグラフ化されている、口座未開設者の比率を年齢別に列挙すると、次の通りです。

<口座未開設者の比率(年齢別)​>

20歳代・・・・・・86.0%
30歳代・・・・・・77.9%
40歳代・・・・・・81.2%
50歳代・・・・・・82.3%
60歳代・・・・・・81.7%
70歳代・・・・・・85.2%
80歳以上・・・・・90.0%

この数字が高いほど、口座未開設者が多いことになるので、各年齢層において、まだ80%近い人たちがNISAの口座を開設していないことになります。

つみたてNISAを使っている人の割合

一般NISAとつみたてNISAでは、年齢層が上がるほど一般NISAを利用する人の比率が高まる傾向が見られます。

2024年1月からは「新しいNISA」へと制度が移行するため、現状の数字はあくまでも現行NISAにおける一般NISAとつみたてNISAのものになるのですが、つみたてNISAの比率を年齢層別に見ると、以下のようになります。

<つみたてNISA利用者の比率(年齢別)>

20歳代・・・・・・10.8%
30歳代・・・・・・14.4%
40歳代・・・・・・9.7%
50歳代・・・・・・6.6%
60歳代・・・・・・3.3%
70歳代・・・・・・1.0%
80歳以上・・・・・0.2%

つみたてNISAは長期的な資産形成を目的にした仕組みなので、80歳以上の年齢層になると、これを利用するのは合理的ではありません。普及率が0.2%というのも当然のことでしょう。

「人生100年時代」などと言われていますが、「健康寿命」といって、日常生活が病気やケガによって制限を受けずに過ごせる年齢は、日本人男性が72.68歳、女性が75.38歳です。

その年齢までは何とか自分自身が働くことで収入を得られるものの、健康寿命を過ぎると病気やケガをすることが増えるため、それまで蓄積してきた金融資産の一部を取り崩して、病院代や薬代、場合によっては施設に入居するための費用を捻出しなければならないのです。

そういった意味で、本当の意味でお金が必要になるのは健康寿命を過ぎてからと言えます。もちろん、80歳になってから、「私は100歳まで生きるんだ!」という思いで積立投資を始めるのはよいのですが、現実に目を向ければ、80歳以上になって積立投資を始めるのが正しい判断だとは言い難いのも事実です。ですから、つみたてNISAを利用している80代が0.2%なのは当然のことだと言えるのです。