大きな数字のイメージをつかもう
金額は、桁が1つ変わると大きな違いです。300円と2000円は大きな違いですね。1万円と10万円も全然違います。
でも、ここでは、桁が2つずつ違う金額のイメージを自分のものにしていきましょう。2桁違うということは100倍ということです。1万円と100万円なら、違いがイメージできますね。
100万円の100倍で1億円ならどうでしょうか。億というと、1億円以上のマンションを億ションといったり、プロ野球選手の年俸が億円単位になるのを思い浮かべることができます。
個人で1億円は大金ですが、会社で売上高が1億円というと小さな会社です。社員は数人で、社長が社員全員に対して陣頭指揮をとっているイメージです。ちなみに、コンビニは1店舗あたりの売上高は2億円ぐらいです。
1億円の100倍、100億円になるとどうでしょうか。100億円の売上高があると、会社には部や課があり、組織的に運営される規模になります。
消費者になじみのある会社でいうとマンガ専門古書店のまんだらけの売上高が90億円、料理レシピサイトのクックパッドの売上高が111億円です。
日本には386万社の企業がありますが、100億円以上の売上高があるのは1万6000社しかありません。0.5%以下です。すべての会社が売上高を大きくすることを目指しているわけではありませんが、個人で創業して1億円の壁、10億円の壁、100億円の壁を乗り越えて100億円以上にするのは大変なことです。
では、100億円の100倍、1兆円はどうでしょう? 日本ハム、資生堂、セコムといった会社は売上高が1兆円規模です。誰もがよく知っている大企業は、売上高1兆円規模になってきます。
1億円、100億円、1兆円のイメージが、なんとなくでもいいので、つかめたでしょうか。一般的に、会社の規模が大きくなるほど、会社の安全性は高くなります。大きい会社のほうがつぶれにくいんです。
売上高が1億円前後の会社は、社長がすべてのような会社がほとんどです。社長に何かあると事業を続けられなくなってしまう可能性があります。また、特定の取引先への依存度が高いなど、経営が不安定です。
売上高が100億円前後の会社は、ある程度の事業基盤があります。ただ、競争が厳しくなるなど経営環境が変わると苦戦してしまうこともよくあります。
売上高が兆円単位になると、事業基盤が確立しています。知名度も高く、仕入、採用、広告など、さまざまな面で有利な展開をすることもできて、さらに有利な経営がやりやすくなります。
ニトリの売上高は7000億円です。ニトリは、創業者の似鳥(にとり)昭雄氏が、一代でこの規模まで成長させた会社です。そう考えると、とても大きな売上高だということがわかりますね。
売上高7000億円という数字を見て、大きい売上高だなと感じることができれば、それが決算書を読める第一歩をクリアです。
●第3回「会社の規模から従業員数まで丸わかり!? 仕事と「売上高」の意外な関係とは」では、自分の仕事と密接に結びつく会計のルールについて解説します。
『「会社の数字」がみるみるわかる! 決算書のトリセツ』
前田忠志 著
発行所 実務教育出版
定価 1,540円(税込)