2022年の株式暴落までは、若者を中心に「レバナス」と呼ばれるようなレバレッジ(借り入れ)をして投資元本を膨らませて米国株式(NASDAQ指数)に投資をする、レバレッジ型の投資信託を活用する動きがみられていました。2021年は株式市場が暴騰したため、大きな利益を獲得できたと思われますが、2022年に入るとインフレの高進やFRBの利上げなどの影響を受けて株式市場は大きく下落し、レバナスのような投資信託は大きなマイナスとなりました。その影響もあって、最近はこのような商品に対するニーズは一段落しているようにみえます。
また、2024年からスタートする新NISAにおいては、リスクが高いため長期投資には向かないとの理由から、レバレッジを活用している商品は対象外になる予定です。
でも、本当にレバレッジ型の投資信託はリスクが高いのでしょうか? 結論から言うと、私は使い方次第だと考えています。例えばレバレッジを使ったとしても、通常の株式投資よりもリスクが低ければ「レバレッジ=ハイリスク」には該当しないと思います。
単にレバレッジをかけて株式に投資する場合であっても、それが若者には適した投資だという考え方もあります。レバレッジと聞くとそれだけでリスクが高い、怖いというアレルギーを持っている人が多いと思いますが、うまく活用すれば健全な資産運用に資することができるのです。
そこで今回は、このレバレッジの活用方法について詳しく説明します。
そもそもレバレッジとはどんな手法?
レバレッジとはお金を借りてきて、投資元本を増やしてから投資することを意味します。でも、実際にはお金を借りるのではなく、先物取引を利用して同様の投資をするケースがほとんどです。先物取引においては、わずかな証拠金を証券会社に差し入れるだけで、本来の2倍、3倍といった投資が比較的簡単にできるのです。
ただし大事な点は、実際に借り入れはしないものの、先物価格には借入金利が反映されているということ。つまり株式の上昇分をフルで得られるわけではない点に注意が必要です。もちろん、証拠金や余剰資金を短期金利で運用すれば、その差をある程度は埋めることができますが、それでも差が生じることは理解しておくべきでしょう。
また、レバレッジ型の投資信託は構造上、レバレッジの調整を行うために「上がったら買い増し、下がったら売る」といった投資行動をするのですが、一般的にはこのような売買行動はマイナスに寄与することが多いのです(特に市場がボックス圏で推移する場合)。
このように借入金利分、および構造的に生じるモメンタム的な売買行動によって、元となる指数を単純に2倍、3倍したものとは完全に連動しない傾向があります。レバレッジ型の投資信託を活用する前に、この点を十分理解しておく必要があると思います。