米ドルと高い連動性を示すメキシコペソ
インフォーマル経済への依存が強いという弱点はあるものの、メキシコは投資対象としても人気があり、銀行などでメキシコペソ建ての外貨預金や外国債券が広く販売されています。
メキシコペソの特徴として、米ドルとの連動性がよく指摘されます。直近1年間を振り返ると、同じような値動きになっていることが分かります。
【メキシコペソ円とドル円(2022年3月1日=100)】
米ドルとメキシコペソが似たような値動きとなるのは、メキシコとアメリカの結びつきの強さがあるでしょう。メキシコは貿易のほとんどをアメリカ相手に行っており、2022年上半期では輸出の8割以上を、輸入の4割以上をアメリカが占めました。
【メキシコの貿易相手上位5カ国(2022年上半期)】
出所:ジェトロ
また金融政策の方向性が似ていることも、両通貨が同じように推移した理由の1つでしょう。金利水準はメキシコの方が高いですが、過去1年間は政策金利を同じようなタイミングで上昇させています。
【メキシコとアメリカの金利】
この状況が続くなら、メキシコペソは米ドルと同じようなリスク(値動き)で、米ドルよりも高い金利収入が見込める通貨といえます。メキシコペソが人気な理由はここにあるのかもしれません。
しかし、メキシコペソと米ドルの高い相関が今後も続くとは限りません。両国の関係が悪化すれば貿易に影響が出ると考えられるほか、インフレ率の違いなどから金融政策の乖離も考えられます。またメキシコ独自の事情でメキシコペソが下落することもあるでしょう。投資の際は慎重に検討するようおすすめします。
執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)
証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。