非合法な雇用に依存するメキシコ経済

メキシコ経済は新型インフルエンザなどで一時停滞したものの、その後は順調に成長しています。世界銀行によれば、2021年のドル建て実質GDPはスペインに次いで世界15位となりました。経済大国アメリカに隣接する地理や1億2000万人を超える人口がメキシコの強みです。

しかし、メキシコは「インフォーマル経済」への依存が高い弱点があります。合法的な就労形態を伴わない経済活動を指す言葉で、メキシコでは露天商や行商人など非合法な事業所や経済主体の下で働く労働者や、合法的な事業所や経済主体の下で活動していながら就労形態が非合法な労働者が少なくありません。メキシコはGDPのおよそ23.7%が、雇用のおよそ55.8%がインフォーマル経済によって支えられています(2021年)。

出所:ジェトロ

インフォーマル経済に正規部門と同等の生産性があるなら、GDPと雇用に占める比率の差は小さくなるはずです。しかし両者に大きな開きがあることから、インフォーマル経済は生産性が低いと考えられます。メキシコ経済がより成長するためには、インフォーマル経済への依存からの脱却が必要なのかもしれません。