近年、お金についての基礎知識を学ぶ「金融教育」が学校の授業で実施され、話題となっています。今や若者の自立に欠かせないとされる金融リテラシー。しかし「なぜ投資するとお金が増えるのか」「効率よくお金を増やす方法とは?」といった疑問に正確に答えられる自信のある“大人”はどのくらいいるでしょうか。
投資についてイチから学びたい!子どもや親からのお金の質問にきちんと答えたい! そんな声に寄り添うのが、投資こそ必須の「生涯保険」という信条のもと、長期資産形成や実体経済に関する執筆を専門とする日野秀規氏。話題の書籍『こどもと一緒に読む投資の話』では、家族三世代全員が理解できるお金の増える仕組みを解説しています。今回は特別に、第3章『お金を「ふやす」ってどういうこと?』の一部を公開します。(全4回)
●第3回:投資はギャンブル…ではない! コツコツもうける「超シンプルな投資方法」
※本稿は、日野秀規著『こどもと一緒に読む投資の話』(ぱる出版)の一部を再編集したものです。
経済の勢いと株価の伸びが一致しないことはよくある
投資を少しでもかじっている人ならよく知っていることですが、もう10年以上の間、米国の株式は調子よく株価が上がってきました。2022年になってから、どうも調子がよくありませんが……。
これに対して、日本の株式は米国株ほどには株価が上がっていません(2022年10月現在)。なかには株価がものすごく上がっている企業もありますが、全体の平均で比べると、米国にだいぶ差をつけられています。その理由として、少子高齢化が進んでいることに加えて古くさい企業がいばっているので、日本の経済は米国に比べて勢いがなく劣っているからだ、という説明をされることがよくあります。
実をいうと、この説明はまちがっています。経済と株式投資は影響しあっている部分はありますが、同じではありません。
まず、そもそも経済とは何でしょうか。一般的には、国内で作り出したモノやサービスの価値(付加価値といいます)の合計金額が年々順調に増えているかどうかで、その国の経済のよしあしを計ります。この金額の中には企業があげる利益も含まれていますから、経済が伸びている国の企業のほうがもうかりやすく、だから株価も高くなるんだと考えてしまう気持ちもわかります。
とはいっても、世界の株式市場を見れば、経済が急な勢いで伸びている国の株価が、そうでない国の株価よりさえない例はいくらでもあります。さらに日本と米国では、適切な指標をみると、経済成長にそもそも大して差がありません。
米国スゴイ日本ダメという話は、米国経済のごく一部、異常にキラキラしているところだけをとらえて、全体を説明できたような気になっているだけです。