株価は「投資家の心理」に大きく左右される
経済が伸びているほうが企業がもうかるというのが本当なら、なぜそれが株式投資と直結しないのでしょうか。それは、株価の動きには企業の利益のほかに、「投資家の心理」が強くかかわっているからです。
読者のみなさんは、たとえばお年玉のような臨時の収入があった時に、つい気が大きくなってふだんよりお金をたくさん使ってしまったことがあるでしょう。世の中や自分の周りでブームが起こった時に、それに乗ってお金を使ったこともあると思います。株式投資をする人(投資家)の心理も、これとまったく同じです。
2010年代には米国株のブームが起き、あまりさえなかった日本株に比べて、米国株の株価はぐんぐん上昇していきました。ところが、実は2010年代の日本企業と米国企業の利益の伸び率はほとんど変わらなかったのです。企業のもうける力は同じように成長したのに、投資家は米国株ばかりに殺到しました。
買いたい人と売りたい人の間で取引が成立した時の値段が株価なので、投資家がどんどん株を買おうとすると、企業利益の大きい小さいとは関係なく、株価はどんどん上がってしまうのです。
企業の調子を見て投資をする人もいるので、経済と投資がまったく関係ないわけではありません。それでも、決して同じではないということがわかってもらえたでしょうか?