新たに確定拠出年金(DC)の企業型をスタートした会社のDC担当者から問い合わせをいただきました。「何かの間違いですか?」という内容です。相次ぐ制度改正で、これまでなかったようなケースが発生しています。

企業型DCは、規約(厚生労働省の承認が必要)ごとに決定できることが複数あります。

そのため、新たに企業型DCをスタートする場合、運営管理機関はさまざまな要望をヒアリングしていきます。例えば、掛金額の考え方(一律の掛金設定にするのか、年齢によって異なるのか、勤続年数と共に増えていくのか、など。簡易型の場合を除く)や、加入者の資格喪失時期、各種手数料の負担方法です。そうしたヒアリングの際、最近、特に気を付けているのが、資格喪失時期についての考え方です。

DCの資格喪失の考え方が変わった

DCがスタートした当初、資格喪失は60歳という年齢が法定されていました。どの企業、どの個人型DC(iDeCo)でも、60歳の誕生日の前日に資格喪失する(=加入者ではなくなる)ことが決められていました。

その後、2014年1月1日からは、企業型DCの規約に定めれば、資格喪失年齢を61から65歳までの年齢に引き上げることが可能となりました。そして2022年5月1日からは企業型DCについては、規約に定めれば、最長で厚生年金の被保険者である限り加入者であることが可能となりました。また、iDeCoについても2022年5月1日から資格喪失年齢が65歳に引き上げられています。

こうした制度改正により、企業型DCでは資格喪失の日を60歳の誕生日の属する月の月末や、60歳到達後最初に迎える年度末など、柔軟に定めることができるようになっています。