相続を通して、キャピタルゲイン税から逃れられる!?

控除額の大きさもすごいですが、他にもアメリカには「相続で資産を増やしていく」ためのしくみがあります。そのうちの最も威力があるものに、資産の「取得費の書き換え」というのがあります。

どういうことかというと、死亡した人が生前に支払った資産の取得費が、相続が行われた時点でその時の市場価格に書き換えが行われるのです。

たとえば、死亡した人が15年前に$100,000で購入した株が$300,000に値上がりしていたとしましょう。死亡する前にその人がその株を売却すれば、売却額の$300,000から取得費$100,000を差し引いた$200,000がキャピタルゲインとなります。一方で、死亡後、息子が相続したとすると、その株の取得費が$100,000から相続時の市場価格$300,000に書き換えられ、相続後すぐに息子が株を売却するとキャピタルゲインはゼロになるという魔法のようなしくみです。

この取得費の書き換えは、株式だけでなく、投資ファンド、不動産などなど様々な相続資産に適用されます。うまく利用すれば大きく投資効果を出した資産を相続し、キャピタルゲイン税を全く払わないで売ることが可能なのです。このあたりの、生前贈与すべきか、相続させて取得費書き換えを利用するかなどの考察も、パーソナルファイナンシャルプラニングでトータルに考察することになります。