アメリカの相続税の基礎控除額、その衝撃的な大きさ
また、この除外額$17,000を超えた贈与については、すぐに課税が始まるかというとそんなことはありません。除外額を超えた贈与については、税務署に報告義務が発生しますが、報告した額は年々累積されていって、トータル額が一定(基礎控除額)以上になって初めて課税が始まります。
アメリカでは、この税金のかからないトータル額の限度額(基礎控除額)が“べらぼう”に大きいです。その額は、なんと$12.92ミリオン(約17億6000万円/2023年の金額)です。この基礎控除額は、相続額と贈与額のトータルに対して適用されます。
具体的には、年間$17,000を超えた額をトータルした生前贈与が、この基礎控除額を超えると贈与税が発生します。死亡したときには、年間$17,000を超えた額の贈与税の累積額と相続財産がトータルされ、基礎控除額を超えた部分に課税されます。税率は18~40%の範囲です。
とはいえ、基礎控除が非常に高いので、かなりの富裕層でない限りは贈与税も相続税も気に掛ける必要はありません(これは連邦税の話で、州の贈与・相続税があるところはありますので、そこは要考慮ですが)。
ただし、いろいろドラスティックな変化があるのがアメリカでして、この$12.92ミリオン(約17億6000万円)という控除額はガクンと減る可能性もあります。今のところ2025年まで有効なもので新たに法的延長がない限り、2026年に基礎控除額が半分に下がる可能性があるのです。
まあ、それでも$6ミリオン(8億円以上)ですから、小型富裕層は心配がないものの、中型富裕層だと影響を受けます。心配がある人は、先ほどの$17,000の生前贈与を駆使して、資産減らしに励むことになります。