2023年1月の全国百貨店売上高概況が発表されました。この経済統計は日本百貨店協会が毎月定期的に集計・発表しているもので、調査対象は全国71社185店です。地区別の売上高や商品別売上高も発表されています。

好調に見える百貨店、その実態は…?

今回発表された数字によると、売上高の前年同月比は15.1%増となり、11カ月連続のプラスとなりました。また入店客数も前年同月比で14.4%増となっています。

地区別では、全地区で前年実績を超え、特にインバウンド効果のあった都市部では18.4%もの大幅増加となりました。また地方も6.2%増となり、3カ月ぶりにプラスに転じているとのことです。

また商品別では、衣料品、身のまわり品、雑貨、家庭用品、食料品という主要5品目がすべて前年同月比プラスになりました。

背景として、「外出機会の増加や気温低下で好調だった防寒商材と、引き続き需要の強い高付加価値な特選商材が牽引した。衣料品ではコートなど重衣料の他、オケージョンアイテムも動いた。身のまわり品や、美術・宝飾・貴金属など高額品は、ラグジュアリーブランドのバッグや時計を中心に増勢が続いており、価格改定前の駆け込みも見られた」といった理由があるようです。

これらのデータ、あるいは解説文章を読む限りでは、百貨店の状況は好調に回復基調をたどっているかのように見えます。では、実態はどうでしょうか。

実態を正しく把握するには

実は新聞記事やテレビのニュースなどで報じられる経済統計に関する情報は、表面的な数字に過ぎません。というより、それらの情報を聞いて現状を瞬時に把握できるのは、常日頃から経済統計をウォッチしている人だけでしょう。

多くの人は、たまたま新聞のページをめくって「1月の全国百貨店売上高は前年同月比で14.4%増」という見出しが目に飛び込んできたとき、恐らく「百貨店業界は好調なんだな」と思うのではないでしょうか。

ですが、それだけでは実態を正しく把握できているとは言えません。

前年同月比では大幅な伸びを見せている全国百貨店売上高ですが、業界が好調か否かは「実数はどうなっているか」という視点からも数字を見ていく必要があるでしょう。