・たった5単語の文章に3億円の価値!? オークションで落札された“名文”

エネルギー価格の高騰などを背景に、全国で電気代が上昇しています。2022年は電力会社で値上げが相次ぎ、12月の平均電気代は前年比で1.1~1.4倍程度に増加しました。

【電気代の推移(2人以上世帯)】

総務省統計局「家計調査」より著者作成

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電気代の上昇は、これまで低価格を武器に拡大した「新電力」でも起こっているようです。近年は新電力にとって厳しい環境が続いており、倒産が相次いでいます。2022年3月22日には、上場企業「ホープ」の新電力子会社も経営破綻しました。

親会社の赤字事業を承継し3カ月で破綻

ホープは自治体向けに広告事業やメディア事業といったサービスを提供する企業です。2016年に当時のマザーズ市場に上場し、2018年には新電力事業を開始しました。2020年10月には、自治体が持つ施設に電力の供給などを行う「ホープエナジー」を設立するなど、次第にエネルギー事業に傾倒していきます。

しかし2020年12月から2021年1月にかけて、日本を記録的な寒波が襲いました。電気の需給が逼迫したことから、電力卸市場における取引価格も急騰します。新電力の多くはこの取引価格で電気を調達するため、財務が急激に悪化しました。ホープも2021年6月期に約69億円もの純損失を計上し、債務超過に転落します。

【2020年9月~2021年3月の電力卸価格(全時間帯のシステムプライスの平均値)】

日本卸電力取引所「取引情報:スポット市場・時間前市場」より著者作成

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ホープは債務を圧縮するため、巨額の赤字を計上したエネルギー事業を2021年12月にホープエナジーに承継させ、ホープ本体からエネルギー事業を切り離しました。そして2022年3月22日、ホープはホープエナジーの破産を申し立てます。破産時の負債総額は300億円にも上りました。

しかしホープエナジーを破産させてもなお、ホープにはホープエナジー株式の評価損失として約48.5億円の負債が残り、2022年3月末時点でも約56億円の債務超過となります。