ホープはどうやって上場廃止を切り抜けたのか

上場維持基準から、債務超過の企業は上場を維持できません。当初ホープは2022年6月末までに債務超過を解消しなければ上場廃止となるところでしたが、決算期を6月から3月に変更し、猶予期間を2023年3月末に延長することに成功します。

およそ9カ月間延命できたものの、債務超過の解消は絶望的かと思われていました。しかし、ホープに救世主が現れます。負債の大部分を構成していたホープエナジー株式を譲り受けてもよいとする人物が現れたのです。ホープは2022年9月、破産したホープエナジー株式を1株1円で全て譲渡し、当該株式で発生していた約48.5億円の負債を解消しました。これにより、ホープの超過債務の額は大きく減少します。

【ホープの純資産総額】

ホープ「決算短信」より著者作成

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さらに2022年12月、ホープは同じく自治体向けにサービスを提供する上場企業「チェンジ」と資本契約の締結に成功します。チェンジを引受先とした第三者割当増資で約5.7億円を調達する内容で、ホープは債務超過を解消できる見通しが立ちました。これを受け、ホープ株式も大きく値上がりしています。

【ホープの株価】

Investing.comより著者作成

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このように、子会社に対する破産の申し立てや決算期の変更といった荒業を駆使し、さらに出資者に恵まれたことでホープは上場を維持できることになりました。当面は大きく低下する収益力の向上が課題となるでしょう。今度はどのような方法で立て直すのか、その手腕が注目されます。

【ホープの業績】

※2022年3月期より決算期を変更している
※2023年3月期(予想)は第3四半期時点における同社の予想

出所:ホープ 決算短信

執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。