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2007年3月6日、夕張市は「財政再建団体」へ移行します(法改正に伴い現在は「財政再生団体」)。企業でいう倒産の状態で、解消すべき赤字額は約353億円に上りました。炭鉱や高級メロンで栄えた夕張市は、なぜ破綻に至ったのでしょうか。

夕張市はなぜ財政破綻した?

夕張市が破綻した理由として、石炭産業の衰退がよく挙げられます。夕張市はもともと日本有数の炭鉱地でしたが、エネルギー需要が石油に移るに伴い、閉山が相次ぎました。石炭産業に代わる産業として観光に目を付けるも投資に失敗し、結果的に財政破綻したといわれています。

また市税収入がおよそ8億円の夕張市が、353億円もの赤字を抱えることになった要因の1つに「ジャンプ方式」があります。これは会計年度をまたがって貸し付けと償還を繰り返すことで、見かけの収支をよく見せる方法です。夕張市は当期に赤字が発生した場合、翌期の会計から借り入れることで補填し、翌期の不足はさらに翌々期の会計から借り入れることで補填していました。

これにより、見かけ上の収支は均衡しますが、実質的には赤字が繰り延べされたにすぎず、その額は雪だるま式に膨らみ続けることになります。夕張市のケースでは金融機関からの借入金も充てられたことから、膨大な負債を抱えることになりました。

夕張市は歳入の確保と歳出の削減を盛り込んだ財政再建策を取りまとめ、財政再建団体に移行します。財政再建策は、住民に増税などで負担を求め、市の職員も給与などを大幅に削減する厳しい内容でした。

【夕張市の主な財政再建計画(2007年3月)】

※1.2017年度より標準税率

出所:夕張市 財政再建計画書(2007年3月6日)

夕張市は当初3年間で約31億円の赤字を解消し、残りの約322億円を賄った「再生振替特例債」の償還も順調に進んでいます。このまま計画通りに返済が進めば2026年度に完済する見通しです。

【夕張市の再生振替特例債の残高】

夕張市「財政再生計画の実施状況(令和3年度)」より著者作成

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順調に再建の道のりを進む夕張市ですが、その代償は小さくありません。市民に痛みを求めた結果、夕張市の人口は大きく減少してしまいました。2006年に1万2000人を超えていた人口は、今や7000人を割り込んでいます。

【夕張市の人口】

夕張市「人口推移(住民基本台帳ベース)」より著者作成

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