割高な銘柄も組み入れざるを得ない指数の「弱点」

さて、そのS&P500指数だが、2022年は現地通貨ベースで約20%のマイナスと、特に年後半にかけて苦戦を強いられた。日本の投資家は円安効果に助けられたため、6%程度のマイナス幅で済んだのだが、ともあれ一時期SNSを賑わせていた、S&P500とインデックス投資を「最強」で「万能」と神格化するような向きは多少落ち着いたようで、筆者は安堵している。長期資産形成を実践する上で、特定の資産に対する極端に強い思い入れは、冷静な投資判断を妨げるためだ。

「株価指数」と聞くと、「その市場を代表する優良企業」が束ねられているという印象を受けるが、実は2022年は、時価総額加重平均型株価指数であるS&P500指数の「弱点」が分かりやすく露呈した年であった。

時価総額とは株式の規模を表す用語で、「株価×発行済み株式数」で求められる。時価総額加重平均型のインデックスファンドでは、自動的に「時価総額が大きい銘柄」を中心に組み入れることになる。「時価総額が大きい銘柄」の中には、残念ながら、実力以上に過大評価され、割高な株価になっているものも含まれるが、指数への連動を目指す以上、必ずしも優良とは言えない銘柄にも投資をしなくてはいけない。これは、指数の採用銘柄が時価総額を基準に決められている限り、解消されない欠点である。