日本人の家計の財務は健全、やりくりに慎重な傾向

貯蓄に関しては、2021年調査ではグローバル共通で「コロナ禍で貯蓄が増えた」の回答が多かったのが、2022年調査では欧州において「減った」の回答比が増える一方、「増えた」の回答比は総じて低めになりました。そして日本ですが、「減った」の回答比はたったの19%で、調査対象国のなかで最も低い数字でした。さらに、「変わらない」も37%で最も高い数字となりました。

なお、貯蓄が増えたと回答した人の属性を見ると、日本の場合、年齢層では20~38歳の若年層、所得層では高所得者層で貯蓄を増やしたという回答比が高くなっています。

また、貯蓄の逆といっては何ですが、過去6カ月間で借入額を増やしたか、それとも減らしたかについては、「増やした」の回答比は5%と極めて低くなっています。また、そもそも「以前も今も借り入れしていない」の回答比は58%と極めて高い数字が出ていました。家計の財務は健全と見てよさそうです。

お金の心配、つまり「どのくらい先までお金のやりくりについて計画しているか」についてグローバルと日本を比較すると、これも日本人の慎重な姿勢が明確に見られます。グローバルで最も多かったのは「数カ月先」で27%を占めたのに対し、日本は「数年先」が43%で、他の期間を圧倒的に上回りました。ちなみにグローバルで「数年先」と答えた回答比は18%にとどまっています。

老後の「健康問題」への関心は、長寿国ならでは?

老後の心配事項について、日本の回答比は「健康問題」が圧倒的に高く48%でした。次に「予期せぬ出来事(身近な人の死/資産喪失等)が28%、「家族の世話や介護」が28%、「リタイア後の収入確保」が25%、「老後資金の枯渇」が23%、「老後も働き続けること」が21%、「自分が家族にとって負担となること」が15%でした。

少し面白いのが、グローバル比較において、健康問題が有意に高かった国は、日本の他に香港がありました。ちなみに香港の場合は62%です。日本も香港も世界的に最も長寿な国の1つですが、健康問題を心配しているからこそ長寿国なのでしょうか。

最後に、日本人が老後資金の財源として考えるのは何かですが、これはほぼ想像通りであり、妥当なランキングだと思います。

1位 公的年金(64%)
2位 個人の貯蓄・投資(50%)
3位 退職金・企業年金(37%)
4位 リタイア後の勤労収入(31%)
5位 個人年金やリバースモーゲージ(21%)
6位 家賃収入(7%)
7位 子供からの援助(3%)

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なお、前述したように実際のサーベイにはより詳細なデータが掲載されているので、興味のある方はご一読されることをお勧めします。