2022年は米国株式も米国債券もともに代表的な指数が2ケタマイナスのパフォーマンスになるという運用が非常に難しい1年だった。その難しい運用環境の下でも、ベテラン層は運用会社に対して「運用の工夫によって良い運用成績を示すべき」と厳しい目で見ているようだ。一方、若手は運用成績についてはやや目をつむって「低コスト」や「運用効率」という収益性以外のところを評価し、「運用会社に対する運用力の期待値」がそれほど高くないといえる。
対してベテラン層は過去20年、30年という市場変化を経験し、「リーマン・ショック」(2008年)や「チャイナ・ショック」(2015年)などの市場が難しい期間にもかかわらず、プラスのリターンを残しているファンドがあったことを身にしみて感じているのかもしれない。
「リーマン」後しか知らない若手とベテランの差も
運用会社の運用力に対する評価は、若手とベテランの間に価格変動商品を取り扱ってきた期間の経験の差があるのではないだろうか。20代、30代の若手の大半は、「リーマン・ショック」後の超低金利の時代しか知らない。基本的にリスク性資産を保有していれば、「多少のマイナスはあっても時間が経てば挽回できる」という楽観的な対応で乗り越えることができた15年間だった。しかし、2000年のITバブル崩壊や、1989年をピークとする日本のバブル崩壊を知るようなベテラン担当者にとっては、10年たってもマイナス価格が回復しない苦い経験がある。
このような経験の差は、今回の調査で「一貫した運用哲学の下で運用が行われている」という項目から、ベテラン層は21年の37.9%が22年は50.8%に大きくポイントを伸ばしたことに対し、若手は21年の23.7%が22年は25.6%と横ばいだったことに表れている。厳しい運用成績を前にして、ベテラン層は「過去に実績のある運用チームであれば、長期に変わらぬ姿勢で運用していれば必ず挽回してくれる」という「運用力」に対する期待と信頼があるのだろう。