平均を超えるリターンが評価
J―REIT・リサーチ・オープン(毎月決算型)の純資産総額が増加したのは、金融緩和だけが理由ではないでしょう。日本銀行のJ-REIT買い入れ額は、2021年と2022年に大きく減少しますが、同銘柄の純資産総額は上昇しています。
【J―REIT・リサーチ・オープン(毎月決算型)の純資産総額】
・2020年末:3567.16億円
・2021年末:3825.03億円
・2022年末:4333.09億円
出所:投資信託協会 投信総合検索ライブラリー
では、なぜJ-REIT・リサーチ・オープン(毎月決算型)は資金を集めることができたのでしょうか。理由は、同銘柄の優秀な運用成績にあります。
J―REIT・リサーチ・オープン(毎月決算型)はアクティブ運用の投資信託で、市場平均を上回るリターンを稼ぎ出すことに価値があります。その点で、同銘柄は優秀でした。設定来リターンは210%以上に上り、ベンチマークである配当込み東証REIT指数を上回っています(2022年末時点)。
一般に、アクティブ運用は市場規模が小さいほど有効だとされています。市場には価格発見機能がありますが、取引に参加する人が少ないと十分に機能しません。つまり、価格の割高や割安が放置されやすくなるのです。この歪みこそ、アクティブ運用の利益の源泉となります。
東証株式の時価総額はおよそ705兆円ですが、J-REITの時価総額は約16兆円しかありません(2022年末時点)。規模の小ささから、J-REIT市場は割安な銘柄を発見しやすいマーケットといえるでしょう。J―REIT・リサーチ・オープン(毎月決算型)のアクティブ運用も奏功し、秀でた成績を残すことができました。これが投資家の関心を集め、資金が流入したと考えられます。
不動産のプロが投資対象を厳選
J―REIT・リサーチ・オープン(毎月決算型)は、J-REITに投資する投資信託です。銘柄の選定は、投資助言会社として「三井住友トラスト基礎研究所」が参加します。同社は不動産を専門とする調査および研究機関で、1988年に設立されました。
J―REIT・リサーチ・オープン(毎月決算型)は、三井住友トラスト基礎研究所が徹底したリサーチを通じて絞り込んだ銘柄を対象に、さらにマザーファンドが個別に評価してポートフォリオを構築する仕組みです。単なる証券投資の専門家ではなく、実物の不動産にも精通したエキスパートが運用に加わることも、同銘柄の強みといえるでしょう。
REITは比較的利回りが高いこと、株式や債券といった伝統的資産とは異なる値動きに期待できることなどが魅力的な商品です。しかしJ-REIT市場は規模が小さく、価格発見機能に期待しにくいことから、銘柄の選定には一定の知見が求められます。
J-REITに興味がありつつも、銘柄選びに自信がない人は、J―REIT・リサーチ・オープン(毎月決算型)を通じて投資してみてはいかがでしょうか。
【J-REIT・リサーチ・オープン(毎月決算型)の概要】
銘柄 | J-REIT・リサーチ・オープン(毎月決算型) |
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運用会社 | 三井住友トラスト・アセットマネジメント |
ファンドのタイプ | 国内REIT型 |
設定日 | 2005年1月17日 |
信託期間 | 無期限 |
決算日 | 毎月17日 |
受渡期間 | 5営業日 |
販売手数料(最大、税込み) | 3.3% |
信託報酬(全体、税込み) | 1.1% |
信託報酬(販売会社、税込み) | 0.495% |
信託財産留保額 | 0.3% |
主な販売会社 | 野村證券 SMBC日興証券 三井住友信託銀行 |
執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)
証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。