先行き不透明な今後の為替相場

23年の為替相場について、メディアなどでのアナリストの予想をみると「年初(1-3月)はドル高・円安に振れる可能性はあるが、米国のインフレ鈍化と利上げ幅縮小などの要因で年末にかけてドル安・円高が進展する」との声が多いようだ。ドル安・円高傾向が進展し、円安抑制に伴う輸入コストが抑えられたとしても、物価高が収まる気配はまだない。

例えば、昨今の国際物流の混乱や輸送費の高騰は、急激な円安の前から新型コロナの感染拡大の影響やスエズ運河でのコンテナ船座礁事故、ロシアによるウクライナ侵攻など情勢の変化が影響していた。

帝国データバンクによると22年12月1日時点で23年に値上げをする食品は4000品目を突破し、値上げペースは22年と比べて今後も加速するとみられる。エネルギー価格の高騰が続く中、電気料金やガス料金も大幅な値下げを期待するもは難しい。さらにコロナ融資を受けている企業は返済が本格化する。そういった先の見通せない状況の中、倒産件数の増加傾向は続くとみられている。

一概に「(行政の手厚い支援を続けて)倒産件数が少なければ良い」というわけではないが、倒産件数が増加すれば、長期失業者の急増や倒産した企業が一部を担っていたサプライチェーンの分断や混乱なども懸念される。22年は新型コロナ影響だけでなく、ロシアによるウクライナ侵攻による様々な影響、急激な円安(企業によって明暗が分かれる)、物価高など企業にとっては、新たな難題が降りかかった。23年に入っても明るい話題が乏しい中、難しい局面は続きそうだ。

執筆/鎌田 正雄

合同会社ユニークアイズ代表。大手産業総合紙で記者経験を積み、主に自動車業界や中小企業など製造業の取材に従事し、2021年に独立。「ものづくりのまち」で有名な東京都大田区生まれで町工場の息子。はやりのポイ活で集めたポイントを原資に少額ながら超低リスク投資を始めた