身に覚えのない配当金…それは「特別口座」かも

ご自宅に、株式を保有していない上場企業の「配当金領収証」が届く人はいませんか。配当金領収証は金融機関の窓口などで配当金を受け取るための書類で、銀行などに持ち込めばお金を受け取ることができます。

しかし配当金の支払元を見て、その株式を持たないと思い込み、権利を放棄している人もいるかもしれません。実はその株、信託銀行の「特別口座」に眠っている可能性があります。

株券の電子化は、手持ちの株券を証券会社などに持ち込んで手続きする必要がありました。しかし何らかの理由で手続きが行われなかった場合も、株主の権利が失われたわけではありません。手続きが行われなかった株券については、信託銀行で特別口座が自動的に開設され、そちらで管理されています。名義も元の株主のまま管理されているため、配当金が手元に届き続けるのです。

特別口座に管理されている株式がある場合、配当金領収証の発送元である信託銀行に連絡し、証券会社に振り替えてもらいましょう。そのままでも配当金を受け取れますが、信託銀行に預けたままでは株式の売買ができません。証券会社に移せば、配当金を受け取ることもでき、株式の売買も自由に行えます。他に、特別口座には以下のようなデメリットがあります。

【特別口座のデメリット】
・単元株(100株単位)の売買ができない。
・単元未満株の売買は「買取・買増請求」によって可能だが、手続きが郵送で時間がかかるケースがある。
・配当金の受け取り方に「株式数比例配分方式」(※)を指定できない。

※株式数比例配分方式:配当金を証券会社の口座で受け取る方法。NISAにおいては、個別株式の配当金を非課税で受け取る条件となっている。

もし手元に配当金領収証などがなく、特別口座がある信託銀行の手がかりがない場合、「株主名簿管理人」に問い合わせてみましょう。株主名簿管理人とは、企業に代わって株主の管理を行う事業者で、信託銀行などが務めます。特別口座は、その上場企業の株主名簿管理人に指定されている信託銀行に開設されることが一般的です。

なお、特別口座で管理される株主が故人の場合、相続手続きが求められる場合があります。特別口座のある信託銀行の指示に従い、手続きを行ってください。