「喜寿」(77歳)を満面の笑顔で迎えよう

心掛けていただきたいのは、とにかく年齢を十把一絡げにしないということです。

「そろそろ大人しくしなくちゃいけない年齢」「老いは気がつかないうちに進んでいく」といった、戒めなど持つ必要はありません。

老いには個人差があるのですから、自分の好奇心ややってみたいことにブレーキをかけなくていいのです。「もうそれなりの歳なんだから」「みんな節制しているんだから私もおとなしくしてなくちゃ」などと思わなくていいのです。

もし、いろいろな不安が浮かんできたとしても、いまが元気なら「よし、この調子」と自分を励ましてください。

70歳の節目で久しぶりに同窓会に顔を出した男性は、「つぎは喜寿に元気で会おう」という友人の呼びかけに大いに納得したし励まされたといいます。

「そうだな、これからどんどん老いていくんだろうけど、そんな先のことまで心配しても始まらない。とりあえずいまが元気なんだから、次の目標は7年後を元気で迎えることだ」

そう考えれば、「まずはあと7年」と近い目標が生まれます。

「この調子で7年を乗り切ってしまおう」と考えれば、そこから先のことまで不安にならなくて済むし、やりたいこともいまのうちにどんどんやってしまおうという気になります。

そして、気がつけば喜寿。もうすぐ80代に突入です。

まだまだいろいろなことができそうな気がするでしょうし、「80なんてこんなものか」と拍子抜けするぐらい、元気で快活な80歳を迎えることができるのです。

高齢期は長い。まして長寿の時代には20年、30年という高齢期が続きます。

その長さにため息をついて「これからもっともっと衰えていくんだな」と考えても守りの生き方しかできなくなります。それが結局、老け込んだ70代をつくってしまうとしたら、何だかもったいないような気がします。

70歳過ぎて多少の老いを自覚したとしても、やりたいことがあるなら「あと5年は好きなことやってみよう」「よーし、元気な後期高齢者(75歳)になってやろう」など、短めの目標設定をして自分を勢いづけるのも大事ではないでしょうか。

●「若いころのようにいかないこと」に直面したら……  第3回へ続く>>

70代で死ぬ人、80代でも元気な人

 

和田秀樹 著
発行 マガジンハウス
定価 1100円 (税込)