財務省に2度阻まれ…「3度目の正直」で通したい厚生労働省の編み出した戦法は
ここまで「マクロ経済スライド調整期間の一致」「国民年金納付の5年延長」という2つの改革案をそれぞれ見てきた。
もっとも、中嶋氏によれば、「この2つの案は“抱き合わせ”であることに大きな意味がある」という。「厚生労働省にとって『国民年金納付の5年延長』案は、これまで2度法案に盛り込もうとして挫折した経緯があり、3度目の正直で今度こそ通したいと考えています。なぜ2度にわたってうまくいかなかったかというと、原因は財務省です。財務省が国庫負担の増大を問題視し、反対したのです」。
そもそもの話になるが、基礎年金の給付額には1/2の国庫負担(税金投入)が含まれている。国民年金納付が5年長くなり、給付する基礎年金額がアップすれば、それは国庫負担も増大することを意味する。そこに財務省は異を唱えてきたわけだ。
こうした経緯を踏まえ、厚生労働省が編み出したのが、「国民年金納付の5年延長」の5年部分は国庫負担なしでも可とするプランだ。そして国庫負担なしでも年金給付の目減りを抑える策として、「マクロ経済スライド調整期間の一致」がある。