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投信業界のキーパーソンにロングインタビューする投信人物伝。「レオス・キャピタルワークス」の代表取締役会長兼社長最高投資責任者(CIO)の藤野英人氏に、これまでのキャリアを伺いながら、レオスの立ち上げから経営危機、ひふみ投信の再起と成長までを振り返って頂きました。これまでの直販でしか投信販売をしてこなかったレオスですが、銀行や証券会社など販売チャネルを拡大します。全国行脚を通じて積立投資の素晴らしさを広める活動を続けるなど、徐々に資金流入を拡大させ事業を黒字化。さらにテレビ出演をきっかけに一気に知名度を高めると純資産総額が1兆円を超え巨大ファンドへと成長を遂げます。この爆発的な成長の先にレオスは今後どのような目標を見据えているのでしょうか。
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SBI傘下に入り新たな成長ステージへ

2020年3月31日、レオス・キャピタルワークスの筆頭株主は、ISホールディングスから、SBIホールディングスの子会社に変わりました。ISホールディングスにとっても、レオス・キャピタルワークスにとっても発展的解消です。

実は、SBIホールディングス以外にも複数の選択肢がありました。ISホールディングス側からは、事前に「どの会社に売却するのが最もハッピーか」と言われていたので、成立するかどうかは分からないものの、希望としては「SBIホールディングス」と答えました。

SBIホールディングスの代表取締役会長兼社長(CEO)の北尾吉孝氏は、とてもシビアな経営者という印象を受けますが、1999年にソフトバンク・インベストメンツを創業し、23年以上にわたってグループを牽引して、時価総額7200億円の企業にまで育てた方です。

これはISホールディングスにも言えることですが、トップがいわゆる「サラリーマン経営者」ではないので、私としては非常に居心地が良いところがあります。外資系運用会社に勤めていた時もそうでしたが、信賞必罰がはっきりしているところの方が、自分にとって働きやすい環境なのです。

それに、オーナー経営者だから意思決定権者が明確だし、いわゆるITの分野で今、最も成功している企業のひとつということも、SBIホールディングスを希望した理由のひとつです。これから間違いなくインターネットがビジネスの主戦場になりますし、そのなかで勝ち抜いていくためには、SBIホールディングスが持っている高いIT技術が必要という判断も働きました。

SBIホールディングスという力強い後ろ盾を得たことで、レオス・キャピタルワークスは新たな成長ステージに立ったことになります。

さらにレオス・キャピタルワークスは今年9月、企業としての社会的信頼度や知名度を更に高めるなど企業経営活動全般の一層の充実を図ることを目的に東京証券取引所へ株式上場を申請しました。