アクティビストにアプローチされる前に企業自身で変革を
日本は、アクティビストファンドにとって魅力的な市場です。なぜなら株価が本来の価値より低く評価されている(割安な)会社が多数あり、投資対象に困らないからです。企業の取締役会や経営者自身が株主(企業のオーナー)として見た時に、その会社は適切な外部評価がされているのでしょうか? 株価や関連する指標(ROEやPBR)などで客観的に見て、もし答えがNOであれば、経営者と取締役会は自ら改革を早急に進めるべきです。
アクティビストは専門的な知見もあり、フレンドリーな対話を通じて変革を促すことは可能ですが、対話に労力がかかることは言うまでもありません。今こそ日本の企業が自分で変革できることを見せ、成長力や変革力への投資を呼び込むことにつながれば、日本市場の魅力度はもっと上がると思います。
現在、世界の株式市場に占める日本の割合は5.2%※しかありません。これは世界の株式市場の大型・中型株式を時価総額に応じて集めた指数で、米国が63%と圧倒的に大きな部分ですが、以前は日本が20%を占めていた時期もあり、じりじりと低下しています。これは何を意味するのでしょうか。世界の投資家はこの比率に併せて日本への注目度を減らしている、すなわち、この20年ほどで注目度が明らかに下がっているといえます。日本の企業の価値が適切に評価され、時価総額が上がれば、世界の投資家の注目も自ずと上がるのです。そうすれば株式市場のみならず日本への直接投資や出張者や支店の設置などが活発になり、日本経済の活気が増すでしょう。
※出所:MSCI(https://www.msci.com/documents/10199/8d97d244-4685-4200-a24c-3e2942e3adeb)