これまで「インベストメントチェーン」の全体像を見ていく中で、投資信託を持つことと社会のサステナビリティとの関連に理解を深めてきたことと思います。「自らの将来の生活に向けた投資が企業の行動を変え、さらに社会全体の持続可能性を高める」可能性があるのです。私たちは消費者でもあり、従業員でもあり、さまざまな立場で企業(株式会社)と向き合っていますから、相互に良い影響を与え合うことは大切でもあり可能でもあります。
SDGsをご存知の方の方は特に、消費者として、フェアトレードのコーヒーを買う、CO²排出を少なくする商品を買ったり、レジ袋を買わないようにしたりするなど、サステナビリティの課題に意識を向けていらっしゃる人も多いでしょう。このことは、第5回の記事で投資家であるときにも同じであるとご紹介してきました。投資信託の保有者として、年金の最終受益者として、私たちはサステナブルな社会を実現する権利と責任を持っているとも言えます。
投信運用の現場でもサステナブル志向が強まる
投信の運用会社のポートフォリオマネジャーがサステナブル社会を実現するために投資対象企業を選ぶことは増えてきています。ESGファンドなどの名前がついていなくても、運用会社のアナリストやファンドマネジャーは、そもそもその企業がサステナブルに成長するために、社会の方向に反して環境を破壊し続けることがないか、パンデミックで従業員を大事にし、長期的な安心感を与えることができたかなどを見始めています。さらに、「エンゲージメント」つまり対話を通じてそのような経営が行われることを確認するだけでなく、サステナビリティへの取り組みが不足している企業に株主として変化を促しています。