佐々木洋二さん(仮名、52歳)は妻と大学生の娘、そして80代の父親と4人で暮らしていました。佐々木さんには3歳年下の妹がいますが、その妹が高校生の時に母親が亡くなり、あることをきっかけに兄妹関係はいびつになってしまいます。
長らくギクシャクしていた妹との関係は、お互いが結婚し子どもを持つようになってようやく好転。父親と同居している佐々木さんの実家に、年に数回は集まって家族同士交流していました。
しかし、2年前に父親が他界。すると遺産相続を巡って妹との関係に再び大きな亀裂が生じ、ついには絶縁状態になってしまいました。佐々木さんが「地獄のようだった」と振り返る相続争いの端緒は、父親の生命保険の受取人が妹に指定されていたことでした。そして、争いの裏で糸を引いていたのは妹の夫だったのです。
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「平等」に分け合う相続内容に妹も納得
父親が亡くなって葬式も一段落した頃、佐々木さんは遺産相続の話をするために妹を自宅に呼び寄せました。生前、父親は遺産のことで子ども同士がもめることのないよう、平等に財産を分け与えようと考えていたようです。相続の内容も同居している佐々木さんに伝えていました。
遺産は自宅3000万円(時価=相続税評価)、預金1000万円、生命保険1000万円。自宅については、佐々木さん家族がずっと住んでおり、今後も売却することなく生活を続けるため佐々木さんが相続します。そのため、実質的な「お金」である預金1000万円と生命保険1000万円を、佐々木さん(預金)と妹(生命保険)で分け合うという内容でした。
そのことを伝えると妹も納得し、何の問題もなく相続の話は終わるかに思えました。
ところが後日、一転して血相を変えた様子で妹が連絡してきたのです。相続内容に強硬に異を唱えたのは、妹の夫でした。