・国も期待したベンチャー企業が倒産! きっかけは「電力価格」の高騰

2015年11月25日、「アクティビスト(物言う株主)」として有名な村上世彰(むらかみ・よしあき)氏が、相場操縦の疑いで証券取引等監視委員会から強制調査を受けます。村上氏は当時、黒田電気の実質的な大株主として経営改革を迫り、同社の経営陣と対立していました。

結局、証券取引等監視委員会は村上氏の相場操縦を認定できず、告発を見送ります。その後黒田電気は外資系投資ファンドに買収され、2018年3月に上場廃止となりました。報道によると、村上氏は買収価格の引き上げなどを働きかけ、大きな利益を得たようです。

アクティビストは、その手法から批判を浴びることも珍しくありません。しかし、アクティビストを肯定する意見もあります。なぜアクティビストに賛否が集まるのでしょうか。アクティビストの概要に迫りましょう。

村上ファンドとは

村上氏がかつて率いた「村上ファンド」は、アクティビスト運用を行う投資会社でした。不動産会社の昭栄(現・ヒューリック)やアパレル大手の東京スタイル(現・TSIホールディングス)に積極的な株主還元を迫り、日本にアクティビストの存在を知らしめます。

しかし2006年6月、村上氏はニッポン放送株式を巡るインサイダー取引の疑いで逮捕されました。2011年6月に村上氏の上告を最高裁が棄却したため、同氏の有罪が確定します。

村上ファンドは解散しますが、村上氏は複数のファンドを率い、再び日本株式への投資を開始しました。黒田電気に対する投資は、事件の執行猶予が明けて最初の案件だったとみられています。

村上氏は現在どのような株式に投資しているのでしょうか。金融庁の書類電子開示システム「EDINET(エディネット)」で調べたところ、村上氏が実質的に率いているとみられているファンドの1つ「シティインデックスイレブンス」は、以下のような銘柄で大量保有報告書(※)を提出しています。

※大量保有報告書:保有割合が5%以上となった株主(大量保有者)が、大量保有者になって5日以内に提出する書類。大量保有者となって以降も、一定以上の変更があった場合は「変更報告書」も提出する。

【「シティインデックスイレブンス」が大量保有報告書を提出する銘柄の例】

※提出者が複数いる場合も保有株式数(保有割合)はシティインデックスイレブンスのみ

出所:金融庁 EDINET