アクティビストは悪? それとも正義?

このように、アクティビストは単に市場で株価の値上がりを待つのではなく、積極的に株価上昇を働きかける点に特徴があります。時に強引にも見える手法は、経営陣とアクティビストの対立関係が表面化するとよく批判されるようです。

しかし近年、アクティビストを歓迎するようなムードも出てきました。2014年2月、「日本版スチュワードシップコード」が金融庁によって策定され、運用者が投資先企業と対話を通じて投資リターンの拡大を図る責任が明確化されます。アクティビストは、まさに投資先企業へ企業価値の上昇を働きかける存在であり、その手法に理解が進むきっかけになりました。

アクティビストはそもそも投資先企業と利害を共にする存在であり、本来は一緒に成長を喜べるパートナーともいうべき存在です。インサイダー取引のような犯罪は許されませんが、それはアクティビストの本質とはいえません。

また、アクティビストが行使する株主提案権は、会社法で認められた株主の権利です。会社と直接対話をすることが難しい少数株主にとって、アクティビストは経営陣を監視する貴重な存在ともいえます。

もちろん、法律が認めても社会が許容するとは限りません。アクティビストが強引な手法を用いれば、やはり批判は集まりやすいでしょう。アクティビストに対する評価は今後も分かれそうです。

執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。