7割の企業で価格転嫁も、価格転嫁率は36.6%と低迷

では企業側は物価高を自社の商品・サービス価格に転嫁できているのだろうか。同じく帝国データバンクの「企業の価格転嫁の動向アンケート(2022年9月)」によると、自社の主な商品・サービスのコストの上昇分を販売価格やサービス料金にどの程度転嫁できているかとの質問に対して、「多少なりとも価格転嫁できている」と答えた企業は70.6%と、多くの企業が価格転嫁できている結果となった。

ただ、コストの上昇分に対し、「すべて価格転嫁できている」とした企業は 2.3%で、「8割以上できている」のは11.7%にとどまった。コストの上昇分に対する販売価格への転嫁割合を示す「価格転嫁率」は 全体で36.6%と4割未満だ。例えばコストが100円上昇した場合に36.6円分しか販売価格に反映できていないことを意味する。

業種別に価格転嫁率(全体が36.6%)をみると、「建材・家具、窯業・土石製品卸売」が53.1%、「機械・器具卸売」が50.9%で、販売価格を半分以上が反映できているとした。その一方で、「情報サービス」が 14.4%、原油価格の高騰の影響を受けているトラック運送などを含む「運輸・倉庫」が17.7%にとどまり、これらの業種が特に価格転嫁が進んでいない結果となった。

同アンケートでは、「政府には価格転嫁支援の強化に加え、物価の高騰による影響を受けているすべての企業に支援が行き渡る対策の実施が求められよう」と指摘している。