物価高が企業経営にどのような影響を及ぼしているのか
物価高を主要因とした企業の倒産が増えている。終息が見通せないコロナ禍に追い打ちをかけるように、円安やロシアによるウクライナ侵攻などにより原材料やエネルギー価格が高騰し、企業を取り巻く経営環境は厳しさが増している。一方で、食品などの価格改定(値上げ)が相次ぐ中、企業を支える従業員の賃上げの必要性も高まっている。各種統計データを参考に物価高の影響について、企業の実態を紐解いていく。
止まらない物価高倒産。既に1-8月で年間最多を更新
帝国データバンクの「物価高倒産」動向調査(8月)によると、仕入価格の上昇などにより、収益が維持できずに倒産した「物価高倒産」が2022年1-8月の累計で150件となり、調査開始の2018年以降で最多だった2021年(138件)を8月時点で上回り、早くも年間最多を更新した。8月単月でも34件で月間最多だった7月(31件)を上回り、2か月連続で最多を更新していることからも、物価高倒産が急増していることが分かる。
この2022年に物価高倒産となった150件を業種別にみると、「運輸業」(42件)がトップで、全体の約3割を占めた。「建設業」(34件)と続き、以下「卸売業」(23件)、「製造業」(同)となった。
規模をみると、全体の約8割が負債5億円未満の中小企業が占めた。同調査では「中小・零細企業の多くは、すでにコロナ禍で経営体力を消耗している。足下の燃料、原材料、電気代、物流コストの高止まりによる収益悪化が、新たな倒産の引き金になりかねない」として年末に掛けて、さらに増える恐れがあると分析する。