将来への不安から、はやる気持ちは分かるけれど……

昨今はコロナ禍という未曽有の事態に、不安定な世界情勢と誰しも将来に漠然とした不安をいだきやすく、そのため、“手っ取り早く”もうけられる方法に近づいてしまった、亜由美さんの気持ちも分からなくはありません。いえ、むしろ誰しもがこうした詐欺や悪質商法に引っ掛かる可能性はあるといっても過言ではないほどです。

しかし、そうそう手っ取り早くもうかる方法はなく、お金を育てるには「じっくり」が大原則です。

そのために、真っ先に着手してほしいのは、運用益非課税で投資信託を毎月コツコツ積み上げていくiDeCo、次につみたてNISA。ほぼ「ほったらかし」でOKで、平日仕事で忙しくても資産形成ができます。個別株の売買のように短期で大きくもうけることはできませんが、反対に売るに売れない状況に追い込まれることはありません。

亜由美さんはまだ25歳ですから、65歳まで加入できるiDeCoでゆっくりと節税しながら資産形成をしていきましょう。元金だけでも2万3000円※×12カ月×40年で1100万円ほど貯められますが、仮に3%の複利で運用しながら積み立てる場合、40年続けると約2000万円の資産をつくることができます(口座管理手数料は考慮しません)。

※亜由美さんのケースにおける、iDeCo掛金の上限額。会社員の場合、勤め先の退職金制度などによって、iDeCo掛金の上限額は異なります。

また、iDeCoの場合、掛金全額所得控除されるため、所得税・住民税が軽減されます。所得税率5%の場合、1150円×12カ月=1万3800円の所得税が、年末調整や確定申告で戻ってきます。住民税は10%なので、翌年2万7600円分の住民税が軽減されます。つまり、所得税と住民税を合わせると1年で4万1400円の節税が叶うわけですが、40年で見れば約165万円の税金を軽減できます。