21歳、「72の法則」を初めて知る

さて、授業で参考になったと思う項目、2番目に多かったのが「72の法則」でした。物の本には「(72の法則は)中学校の教科書でも紹介されている」とありましたので、意外感をもって受講者からの感想を眺めていました。

「72の法則を初めて知った。金利から、お金が2倍になるのに必要な年数が素早く計算できることが分かり、表を使って細かく計算しなくてもよい簡単な方法で驚きました」

「72の法則は聞いたことがなかったため、今回の授業で知れてよかった」

よくよく考えてみると、投資教育が加わった学習指導要領の改訂は中学校で2017年、高校が2018年、それぞれの適用開始が2021年と2022年ですから、日本の学校における投資教育はまだ始まったばかり。今、大学生の人は、その適用前に中学生や高校生だったわけですから、「72の法則」を知らなくても無理からぬことですね。そして、今の10代と20代では、学校で学ぶ金融知識や情報に差がある、投資教育に携わる者としては、そうした違いも心得ておくべきだと思いました。

こうした話をすると、ややもすると「我々は恵まれてない世代だ」なんて、当事者の20代から聞こえてきそうですね。でも、投資教育に必要なのは理論と実践。理論は学校教育から始まることになりましたが、実践するには、20代(あるいは社会人)になってからでしょう。ですから、20代の皆さんは、まずは“小さく”実践から入ってみる、そんなふうに考えていけばいいと思います。

さて、実際の授業では「72の法則」を使ってクレジットカードの利用方法等を説明しました。以下、その感想になります。

「実際に自分が借り入れを行う際の、最終的な返済金を求める方法や72の法則は返済のプランをたてる上の指標となり特に実用的だと思った」

「クレジットカードは使っていませんが、今後気を付けようと思います」

「72の法則を考えた人は面白い考えをしているなと思いました。同時に複利の凄さ、恐ろしさを知りました。ローンを組む時、投資等をする時は注意します」

実は授業でクレジットカードを例にしたのも、ライフプランを自分事として考えて欲しいから。でも、この感想からすると、今回の受講者はクレジットカードを利用していない様子でした。これは講師としての反省ですが、次回の授業では奨学金の話をしたほうがいいかもしれない、そんなことも思いました(苦笑)。

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以上、最近、ある大学で受け持ったライフプランニングの授業から、アンケートに記入してもらった感想をもとに、21歳大学生の意外な一面(?)を紹介しました。

ところで、30年以上前の自分自身を振り返ってみると、授業に出ていたかどうかも怪しい……そんな大学生の私でした。今の大学生の皆さまのほうがよっぽど、将来を見据えて色々と考えていらっしゃるのではないかと、講師を務めながら感じていたところです。ですから、今、大学生の皆さまには、ぜひ、自信をもってキャンパスライフを満喫し、社会に飛び出してほしいですね。そんな皆さまの将来に幸あれ、と願います。