上場していない私募REITの市場は年々拡大傾向に
ARES(一般社団法人不動産証券化協会)が毎月下旬に発表している「ARESマンスリーレポート」の7月発行分は、国内の私募REIT市場ならびにJ-REIT市場の概況について解説しています。
私募REITは、J-REITとは違って証券取引所に上場されておらず、最低投資金額も1億円程度のものが大半を占めているので、個人投資家向けではありません。投資しているのは専ら機関投資家です。
したがって、読者の大半を占める個人にはあまり関係のない話かも知れませんが、J-REITもしくはJ-REITなどを組み入れて運用している投資信託(本稿ではREITファンドと言います)を保有しているのであれば、不動産業界を知る上で知識のひとつとして覚えておいて損はないでしょう。
私募REIT市場は年々拡大傾向にあります。保有不動産額や投資法人数は右肩上がりで増えており、2022年6月末時点における投資法人数は42銘柄。保有不動産額は4兆8555億円で、保有物件数は1279物件にのぼります。
私募REITに投資している機関投資家は、地域金融機関(34.0%)、中央金融法人(28.3%)、年金(20.1%)、事業会社等(17.6%)となっています。また、私募REITに組み入れられている不動産物件は、オフィス(39.0%)、物流施設(20.5%)、住宅(19.8%)、商業施設(14.1%)、ホテル(5.0%)、その他(1.6%)です。
ちなみに個人でも自由に売買できるJ-REITの場合、投資法人数は61銘柄で、保有不動産額は21兆5849億円、保有物件数は4490物件ですから、市場規模は圧倒的にJ-REITが上です。