安定した配当金を得られるJ-REITは長期保有向き

個人投資家については、年齢別投資口保有状況も掲載されています。それによると、保有金額で最も構成比が高いのは70歳以上80歳未満で24.7%です。以下、60歳以上70歳未満が22.3%、50歳以上60歳未満が19.1%、80歳以上が18.2%、40歳以上50歳未満が11.0%、30歳以上40歳未満が3.4%、20歳以上30歳未満が0.7%、20歳未満が0.6%となっており、これは個人金融資産の保有額平均にほぼ連動するものと考えられます。

保有資産額が大きい年齢層ほど、J-REITにおいても保有比率が高まるのは自然なことなのかも知れませんが、J-REITは長期保有するほど投資効果が高まる性質を持っています。

2003年3月を起点にした東証REIT指数(配当なし)の推移を見ると、TOPIX(配当なし)のそれに対して劣後しています。配当を入れずに指数の値動きだけで比較すると、J-REITは株価よりもパフォーマンスが悪い、ということになります。

ただ、これは配当なしで比較しているからです。配当込みの指数で比較すると、東証REIT指数はTOPIXを大きく上回ります。つまりJ-REITは配当利回りがTOPIXよりも高く、したがって安定的かつ長期的に配当を取っていくという運用をすることによって、パフォーマンスの向上が期待できると考えられるのです。

ちなみに2022年6月末における東証REIT指数(配当なし)の指数は1966.90ポイントです。この指数は2003年3月を1000として算出されているので、配当なしでは、この19年と3カ月間で約2倍になったことになります。

とはいえ、東証REIT指数(配当込み)は起点が同じでも、2022年6月末時点の指数値は4487.40ポイントです。つまり配当金の効果で、元本が4.5倍近くまで成長しているのです。

この点からも、J-REITは安定した配当金を得ながら、長期で保有する投資対象であることが理解できるでしょう。

恐らく若年層は、J-REITの投資口を直接購入するのではなく、REITファンドを介して投資しているケースが多いのではないかと推察されますが、その特性から言えば、投資口の保有状況でも、もう少し若年層の比率が上昇しても良いと思われます。