どうして金が資産になる?
東京オリンピックの金メダルには携帯電話などから回収された金が使用されました。回収された金の量は32キログラムにもなったそうです。
ところで、金は安全資産として語られることも少なくありません。直近はコロナショックや米国の金融緩和縮小などで株価が大きく下落しましたが、金価格に大きな影響は見られませんでした。
【金価格と株価の推移(2020年1月~2022年6月)】
しかし、そもそもなぜ金は資産になり得るのでしょうか。株式や債券と異なり、金そのものに利益を生み出すような仕組みはありません。また素材として見たときも、工業的な価値は鉄や銅の方がありそうです。
理由の1つに希少性の高さがあります。金はわずかな量しか存在せず、地球全体の埋蔵量を合わせても5万4000トン程度しかありません。鉄の埋蔵量が3700億トンとみられていることから、金がいかに少ない物質かが分かりますね。
しかし、量が少ないだけでは金の価値を説明するには不十分です。いくら希少でも、需要がなく誰も見向きもしないなら価値は生まれないでしょう。逆に考えると、金に価値があるのは、金に需要があるからに他なりません。これが、金が資産となるもう1つの理由です。
なぜ金に需要が生まれるのでしょうか。端的にいうと、「金がきれいだから」です。人は金が持つ色や光沢に美しさを感じやすく、歴史的に珍重されてきました。現代でも多くの人が金に普遍的な価値を感じているのでしょう。
事実、金は投資を除くと、その大部分が宝飾品に用いられます。工業製品に用いられないわけではありませんが、需要全体に占める割合は大きくありません。
【金の需要(2020年)】
このように、金の資産的な価値はその希少性と需要が支えています。採掘技術の向上などで供給量が大きくなるか、なんらかの影響で人々が金に魅力を感じなくなると金は価値を失うかもしれません。しかし現状、そのような可能性は低そうです。