インフレで再注目される金の実力

金はインフレに強い資産だといわれています。インフレとはインフレーションの略で、物価の上昇を意味します。近年は物価の上昇が取り上げられることが多いですが、金の価格はどうなったのでしょうか。

2019年から2022年6月までで考えると、金価格とインフレの関係性は見えにくいです。米国のインフレ率は2020年のコロナショック時に大きく下落しますが、2021年から急激に上昇しました。金価格はそれより早い2019年中ごろから上昇を始め、2020年7月に2000ドルを突破しました。米国のインフレが顕著になり始めた2021年以降は1700~1900ドルと、ほぼ横ばいで推移しています。

【米国の消費者物価指数(前年比)と金価格の推移(2019年1月~2022年6月)】

Investing.comより著者作成

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この期間で両者の相関係数を取ると約0.38となりました。これは一般に、やや弱い相関関係にあると考えられます。同期間は新型コロナウイルスの対策から主要各国が金融緩和を行ったため、金が先行して上昇し相関が弱くなったのかもしれません。

この期間では強い相関は見られませんでしたが、インフレ下で金価格が上昇することには一定の合理性があります。インフレに備える1つの対策として、金への投資は有効な選択肢といえるでしょう。

執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。