原発再稼働への期待で電力関連銘柄の株価が上昇

記録的猛暑となった2022年6月末、 岸田首相は電力のひっ迫状況への対策として「供給力の確保に向けて最大限、原子力を活用する」と発表。これを受け、東京電力HDを始めとする電力各社の株価が大きな上昇をみせた。

原子力発電に使用されるウランは、わずか1グラムで石油2,000リットル分に匹敵するエネルギーを生み出せる燃料として知られる。さらに、一度使用した後でも再処理をすることで再び燃料として使用可能。そのため、原子力発電は発電や運用にかかるコストが安く済むとされている。株価上昇の背景には、原子力発電のコストが安く、現在停止している原子力発電所の再稼働が進めば電気会社の収益が改善されるとの投資家の期待がうかがえる。

また、7月半ばに岸田政権は、暖房機器の使用によって同じく大量の電気消費が見込まれる冬に向けて、最大9基の原発の稼働を進める方針を発表した。原子力発電だけで国内電力消費の1割を賄う計画だ。

さらに、稼働を停止している全国10基の火力発電所を臨時で再稼働させる指示を出している。稼働が実現されれば、電力消費がピークを迎える時期にも電力の安定供給が行える見込みだ。

このような電力周りの動きによって、電力会社はもちろんのこと、発電所のメンテナンスを行う企業や発電に使用する資源を取り扱う業者も恩恵を受けることが予測される。幅広い視点で関連銘柄の動きに注目していきたい。