関東甲信地方で梅雨入りから21日後という異例の早さで明けた2022年の梅雨。6月時点で既に気温が40度を超える地域が出るなど、厳しい夏が幕を開けた。

想定外の暑さの到来により電力の需要が急激に高まったことで、政府は「電力ひっ迫注意報」を発令。幸いにも、電力の使用に制限が出されることなく注意報は解除されたが、これから真夏を迎えるに当たって電力供給に不安を覚えた人も多くいただろう。

この記事では、最近になって電力ひっ迫が度々取り上げられるようになった理由と、電力や猛暑に関連した市場の動きについて解説していく。

統計開始以来、最短の梅雨! 5月新設の注意報が6月に発令

2022年6月27日、気象庁は「関東甲信地方、東海地方、九州南部で梅雨明けしたとみられる」と発表した。関東地方では例年よりも22日早く、統計開始以来最速の梅雨明けを記録。いずれの地域でも、梅雨の期間が観測史上最も短い日数となった。

さらに、6月25日から30日までの6日間は東京都で連日35度を超える猛暑日となり、6月としては異例の厳しい暑さとなっていた。

例年よりも早く暑い気候が訪れたことにより、企業や商業施設、各家庭で冷房の利用が増加。消費電力が急激に増えたため、東京電力の管内で安定した電力供給が危ぶまれ、6月27日には「電力ひっ迫注意報」が発出された。5月に新設されたばかりのこの注意報が初めて実際に出されたのだ。

電力供給の安定状況は予備率で示される。予備率とは、電力需要に対して供給にどのぐらい余力があるかを示す指標のこと。予備率が8%以上あれば、供給が安定した状態とされる。

予備率が5%を下回ると「電力需給ひっ迫注意報」、3%以下となる場合は「電力需給ひっ迫警報」がそれぞれ発令される予定となっており、警報が出された場合は、国民や事業者などへ節電行動の協力が呼びかけられる。

今回関東圏に出された注意報は、発出から3日後の6月30日に解除された。企業や一般家庭から節電への協力が得られたことによる電力需要面の改善と、他の電力会社から電力融通を受けたり、停止していた千葉県の火力発電所を急遽再稼働させたりといった供給面での改善があったことで解除にいたっている。