「人生100年時代」と言われるようになり、資産運用に対する注目が高まっています。しかし、IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)であり、フィナンシャルクリエイトの代表取締役でもある髙塚大弘氏によると、「資産運用だけに注目すると、うまくいかないことがある」というのです。人生100年時代にどんなことを考えておくべきなのか、これからの人生を生き抜くポイントをシリーズで髙塚さんに解説していただきます。

※この記事は、2022年5月に実施したフィナシーセミナー「中立的なお金のコーチが教える、貯まる&増える家計講座 ~第3回 失敗しない為に知っておきたい保険業界のカラクリ~」をダイジェストにして記事化したものです。

一見、中立的に見える保険代理店の裏側

今回は「保険業界のカラクリ」をテーマに、保険業界の裏側や構造についてお話します。資産運用にチャレンジしようとしている人の中でも保険の整理から入ったほうがいい方は多いですし、知らないと損してしまうことがたくさんあります。そんな保険について、これから数回にわたって解説します。

一昔前まで、複数の保険会社の商品を取り扱う乗合保険代理店(以下、「保険代理店」)は存在せず、50社ほどの保険会社の代理店があるだけでした。そのため保険会社の比較をしようとしても、各社口をそろえて「うちが一番いいですよ」と答えるばかりで、何がいいのか分かりづらい状況でした。

そこで誕生したのが、いろんな保険会社の商品をデパートのように扱うことができる保険代理店です。最近では、街中にたくさんの保険ショップを見かけるようになりました。

実は、私が新卒で入社したのも保険代理店でした。当時、乗合保険代理店はまだ珍しく、中立的な立場でお客様にコンサルティングができるすばらしい仕事だと思って入社したのですが、私が配属されたのは、ある特定の保険会社の商品を販売する部署。他社と比べてその保険会社の商品が一番いいと勧めなければならなかったのです。保険代理店は一見、中立的な立場で最適な商品を提案してもらえるように見えますが、裏側はこのようになっていたのです。

どういうことかというと、保険代理店ができる前までは、保険会社にとって契約者だけがお客様でしたが、保険代理店ができたことで、保険代理店も保険会社にとってお客様になったのです。それにより、保険会社が保険代理店に対し「うちの商品を勧めてほしい」と営業する構造になりました。この構造を理解するだけでも、「保険代理店に相談に行けば、すべて解決できるというわけではない」と理解できると思います。