事例検証② 鈴木さん(仮名)のケース
<家族構成>
夫 35歳 会社員 年収約650万円(東証一部上場企業勤務)
妻 33歳 専業主婦
子 長男:5歳、次男:3歳
<教育資金>
まだ分からないが、二人とも男の子なので大学は私立でも学費を出してあげたい
<住宅等資金>
来年、3300万円で建売住宅を購入予定。住宅ローンは安全のために、固定金利を希望。最寄りの銀行に相談中。
<老後資金>
具体的には考えていない。会社で退職金が2000万円弱あるはず。つみたてNISAなども関心はあるがよく分からない。
<現在の金融資産>
1200万円
こちらの鈴木さんは当初、保険の見直しで相談に来られました。保険の見直しというと保険料比較のイメージもありますが、そもそもその保険が必要かどうかから考える必要があります。そのため、必要な保障を考えるためにもキャッシュフロー分析をすることをお勧めしました。
キャッシュフロー分析をした結果、お子さんが高校・大学に進学するときにお金が足りなくなり、さらに69歳くらいで資産がなくなってしまうことが分かりました。保険の見直しだけで済む問題ではないではないということがお分かりいただけると思います。鈴木さんには、次のような提案をしました。
改善案①
まずは、住宅ローンの見直しです。比較的高い金利の住宅ローンを考えていらしたので、より金利や手数料の安い住宅ローンを提案しました。これだけで、お子さんの進学時も何とか乗り切れる程度にキャッシュフローが改善します。
改善案②
次に、支出(固定費)の見直しです。固定費を見直すことで、月々2.5万~3万円程度の削減が見込めました。これにより現役時代は資産がマイナスになることなく、75歳くらいまではもつようになります。
改善案③
次に、年率3%で資産運用をした場合、資産がマイナスになることなく100歳くらいまでもつようになります。
改善案④
最後に、奥様がパートに出ることを提案しました。奥様はお子さんが大きくなったら仕事をしてもいいと考えていたそうですが、奥様が月8万円のパートに出るだけで、老後も資産は右肩上がりとなり、一生お金に困ることがなくなることが分かりました。
2つの事例からも分かるように、「よりよい運用があるのではないか」「いま入っている保険より安いものがあるのではないか」と目先の問題から着手していくことも大切ですが、もっと全体を幅広く見ることが重要です。キャッシュフロー分析を通して全体感を見て、都度、修正していく癖をつけていただきたいと思います。