お歳暮との違いは?

お中元はよく「お歳暮」と混同されます。お中元は今のような夏の時期に、お歳暮は年の瀬に渡される贈り物です。お歳暮もまた中国の三元思想が由来となっており、武士が年末に贈り物をする習慣や、商人によるツケ精算の際のお礼回りと結び付いて広がりました。明治時代以降はさらに幅広い層でお歳暮が利用され、庶民に広がったと考えられています。

現代のお中元とお歳暮は、贈る時期こそ異なりますが、お世話になった人へのお礼という意味合いに変わりはありません。また、お中元やお歳暮以外にも「残暑見舞い」や「寒中見舞い」といった名目でさまざまな時期に贈り物がなされます。あまり格式張らずに、お礼を言いたい人がいれば贈り物で感謝を伝えてみてはいかがでしょうか。

改めて見直されるギフトエコノミー

「ギフトエコノミー」という言葉を聞いたことがあるでしょうか? 直訳すれば「贈り物経済」となりますが、これは単に百貨店などといった贈答品に関連する市場を指す言葉ではありません。資本主義と異なり、見返りを求めない経済を指します。その概念を知るため、ギフトエコノミーの代表的な成功例「カルマキッチン」について押さえましょう。

カルマキッチンは2007年3月に誕生しました。米国のバークレー(カリフォルニア州)で始まったこのレストランでは、メニューに値段がありません。時価というわけではなく、本当に値段がないのです。つまりお客は無料で食事を楽しむことができます。

なぜお金を払わずに食事ができるのでしょう。その理由は、前もって別の人が食事代を支払っているためです。カルマキッチンでは食事代を支払う代わりに、次の見知らぬ誰かの食事のためにお金を寄付することができます。また、無償のボランティアスタッフとして働くことも可能です。もちろん強制ではないため、ただ食事をして店を出ても構いません。

カルマキッチンはこのように、誰かが誰かの食事のためにお金を贈り合い、また無償で働く仕組みによって成り立っています。この構造から、カルマキッチンは恩返しではなく“恩送り”といわれることも少なくありません。