CO₂の回収・貯留を推進するENEOS

ENEOSHDは、13年比で30年にCO₂排出量を46%減、40年にカーボンネットゼロ(スコープ1,2)の達成を目指す。具体的には、再生可能エネルギーやCO2フリー水素、CCS(CO₂の回収・貯留)/CCUS(CO₂の回収・有効利用・貯留)の推進、電気自動車(EV)を中心としたモビリティ事業の推進などに取り組んでいく。

同社のカーボンニュートラル計画では下記の3段階に分かれている。

①石油製品需要減に伴う原油処理量の低下(2013年度~)
②製油所での省エネ・燃料切替、再エネ活用などの自助努力(2019年度~)
③CCSや森林吸収などのCO2除去(2030年度~) 

カーボンニュートラルとは二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの「排出量」から、植林、森林管理などによる「吸収・除去量」 を差し引いて、合計を実質的にゼロにすることを意味する。その吸収・除去量の部分で貢献するとみられるのが、CCS事業だ。CCSとはCarbon dioxide Capture and Storageの略称でCO₂の回収・貯留と日本語では訳される。石油精製過程で排出されるCO₂を分離回収し、そのCO₂を地中深くの貯留地に輸送し圧入・貯蔵する仕組みだ。

同社は5月10日に、電源開発(Jパワー)と国内で大規模CCSの事業化調査に共同で取り組むことを発表した。貯留候補エリアの検討や調査や設備設計を進め、2026年までを目途に事業化を判断し、30年の圧入・貯留開始を目指す。2016年から米国で火力発電所で発生するCO2を分離・回収し、老朽化した油田に圧入することで原油を増産回収するCCUSプロジェクトにも参画しており、蓄積してきた技術や操業ノウハウを活用し、同様の取り組みを加速させる考えだ。