バイオマス燃料の供給拡大をもくろむ出光興産

出光興産は、50年までに自社操業に伴う排出量のカーボンネットゼロ(スコープ1,2)を目指す。そのためには省エネ・消費電力のゼロエミッション化など既存事業領域の強化・拡大を進める一方で、バイオマス燃料の供給拡大など新規事業領域の早期確立の両面を進めていく。

具体策としては、エネルギー製造拠点として長年操業してきた製油所を、カーボンニュートラル実現のための拠点に生まれ変わらせる、コンビナート全体での「CNX(カーボンニュートラルトランスフォーメーション)センター」化がカギとなると説明。その具体例の一つとして、バイオマス燃料の供給拡大を図る。同社は、石炭と混焼することでCO₂排出削減が可能なバイオマス燃料である「ブラックペレット」の開発に取り組んでいて、22年の商業生産開始に向けて準備を進めている。ブラックペレットとは、木材を粉砕・乾燥して焙煎処理し半炭化したもので、従来のホワイトペレットに比べて耐水性・粉砕性などに優れ、石炭と同様に取り扱うことができる強みがある。

さらに燃焼時にCO₂を排出しない「アンモニア」に関する取り組みも加速させる。2021年にはIHIと出光興産徳山事業所(山口県周南市)で、アンモニアサプライチェーン構築に向けた検討に共同で取り組むことに合意。徳山事業所の貯蔵施設・石油化学装置などの既存設備を活用し、同事業所のアンモニア輸入基地化などを検討し、輸入から供給までのサプライチェーン構築を目指す。