学びと行動のハイブリッドがリテラシー向上に最適

ここで1点、気をつけていただきたいのが、金融リテラシーは、学習しただけでは向上しないということです。前述の通り、リテラシーとは皆さん一人ひとりの『お金に関する知識や判断力』です。これは、実際皆さんが運用をしていく上で得られるものです。しかしその運用には明確な答えは存在しませんので、運用経験の短い加入者にとっては、今自分が実行している運用が本当に適切なのか不安になると思いますし、失敗したくないので安易に答えを求めたくなるのは当然です。

しかし、ここで皆さんにご理解いただきたいのは、もし今、皆さんが自分の運用に不安を感じているならば、それはご自身のリテラシーを向上させるチャンスだということです。不安は解消しなくては前に進めませんし、前に進むための解決策を見つけ、理解し、実行(改善)することが重要です。

しかしながら、以前別のコラムで記載しましたが、現在加入者の多くが、このリテラシー向上のチャンスを、ただ『わからない』『老後なんてまだまだ先のことだからなんとかなる』という自己判断で見過ごし、運用のハンドルを離してしまっています。日常生活において、お金が発生する場合、皆さんは少なからずそれが適正か否か、比較や検討をしたり、実物を見に行ったりされると思います。こうした行為がリテラシーの向上になっている訳で、DC運用もそれらと変わりありません。ですから、基本が非常に重要となりますし、運用というハンドルを自ら離すことは、誤った運用をしてしまうことだとご理解いただけると思います。

DC運用は、長期運用という特徴があります。運用期間中、手元に現金化出来ません。しかしその点が、加入者からすると自分自身の大切な老後資産であるにもかかわらず、気づくとすっかり忘れられたものに位置づけられてしまう原因になっています。そのことに気づいていただくことが、ご自身のリテラシー向上の大きな一歩であると、ぜひ思っていただきたいと思います。