7月の米国株マーケットの見通しとポイント

7月の米国株マーケットも6月と同じように苦しい相場展開が続くかもしれません。

現状のマーケットに大きな影響力を持つのはインフレの行方であり、ディフェンシブなポートフォリオにシフトしている投資家が多くなっています。マーケットを下支えしているのは消費安定感や公共株など景気後退局面に資金が集まる銘柄です。2020年~21年にかけて続いたハイテク株全盛期から次のサイクルへ相場が移りつつあることは株価にも反映されており、この傾向は続くでしょう。

ここで、今後の経済トレンドを見極めるうえで、興味深いキーワードをご紹介します。米大手銀行のバンク・オブ・アメリカが発表した、「FAANG 2.0」という造語です。「FAANG 2.0」とは、燃料(Fuel)、航空・防衛(Aerospace and defense)、農業(Agriculture)、原子力と再生エネルギー(Nuclear and renewables)、金・金属・鉱物(Gold,metals,minerals)の5分野の頭文字を合わせたもの。バンク・オブ・アメリカによれば、これらの分野が「株式相場の主役」になっていくと言います。7月は「FAANG 2.0」関連銘柄がどのような動きを見せるのかも注目ポイントです。

おわりに

長引く下落相場の中で米国株が底入れする日がいつになるのか?と考える投資家の方も多いのではないでしょうか。相場の格言のひとつに「セルインメイ(5月に売れ)」※という言葉があります。実はこれには続きがあり「リメンバーカムバックセプテンバー(9月に戻ってくることを忘れるな)」と書いてあるのです。つまり秋頃に底値を付けた株価が冬にかけて上昇することがよくあるということです。

※「セルインメイ」のさらなる詳細は『米国株マーケットの見通し―「セルインメイ」で下落が続く? 弱気相場のワナに警戒を』をご参照。

年初からの下落により、世界の株式市場から8兆ドルほどの時価総額が失われていますが、直近の米消費者信頼感指数が予想より下回ったように、個人の消費マインドが落ち込むことが結果的にインフレ抑制につながる可能性もあるでしょう。

マーケットというものは大きく下落すれば、どこかの時点で必ず“アク抜け”をして、再び投資家の資金が集まることは歴史が証明しています。

今は苦しいマーケットですが、長期で見た場合の投資対象国として米国以上に魅力的な国があるとは筆者は思いません。国の経済力を支える次世代技術が多く生まれ、Z世代の比率の高い、若くパワフルな国……こうした米国と米国企業の優位性という前提が変わらない限り、米国経済は今後も発展を続けていくと考えることが論理的ではないでしょうか。

 

執筆/鈴木 林太郎

金融ライター、個人投資家。資産運用とアーティスト作品の収集がライフワーク。どちらも長期投資を前提に、成長していく過程を眺めるのがモットー。Webメディアを中心に米国株にまつわる記事の執筆多数。