一律の考え方からプランごとに変更

DCの拠出限度額は、2024年12月からは他の企業年金制度(DB)のプランごとの設定に変わります。企業年金2法といわれる「確定拠出年金法」「確定給付企業年金法」が成立して以来、はじめての変更となります。

従来、企業型DCの拠出限度額は、DBの有無による不公平が生じないよう、5.5万円からDB分を控除して設定されています。この控除するDBの掛金額について、現在は、一律で2.75万円(5.5万円の半額)が適用されています。

これは、20年以上前の制度創設当時のDBの代表であった厚生年金基金の給付水準から計算されました。しかし現在のDBの給付水準から考えると、2.75万円は高すぎるのではないかということがわかってきました。簡易的に計算した場合、9割のプランで2.75万円を下回っていたのです。そのため、2024年12月からは一律の2.75万円ではなく、プランに応じた金額「他制度掛金相当額」で考えることが決定しました。

では、なぜ今年「他制度掛金相当額」のお知らせが届くのか?というと、10月からは基本的に誰もが自助努力の制度であるiDeCoを活用できるようになるためです。

10月の法改正後も、iDeCoを活用できない人

iDeCoは自助努力の制度ではありますが、公的年金の被保険者であることが大前提です。また、年齢も20歳以上65歳未満に限定されています(厚生年金被保険者であれば20歳未満でも可能)。さらに、企業型DCの状況によっては、下記3点も関係してきます。

① iDeCoかマッチング拠出か、の二者択一
企業型DCで加入者掛金(マッチング)拠出をしている人は、iDeCoの加入者にはなれません(掛金拠出はできない)。マッチング拠出をしている人は、2021年3月末で企業型DC加入者の16%となっています。

② 企業型DCの事業主掛金が多い
事業主掛金が5万円以上(DBがある場合は2.25万円以上)の場合も、iDeCoの加入者にはなれません。企業型DCとiDeCoを合わせた拠出限度額は5.5万円(DBがある場合は2.75万円)で、かつiDeCoには最低5,000円以上の拠出が必要だからです。

③ 企業型DCの事業主掛金が各月拠出でない場合
企業型DCとiDeCoは、拠出限度額を月単位で共通で考える必要があります。そのため、企業型DCの拠出単位が「年」である場合などは、iDeCoに加入できません。企業型DCの規約に、その旨が明記されます。