円安で海外旅行の値段が上がる理由
海外旅行によく行く人は昨今の円安を苦々しく思っているかもしれません。円安には海外旅行の費用を押し上げる効果があるためです。
円安とは海外通貨に対して日本円の価値が下がることで、為替レートでいえば1ドル=100円が1ドル=130円のように上昇することをいいます。これは100円で買えていた1ドルが130円に値上がりした(日本円の価値が下がった)ということです。
海外旅行では基本的に現地通貨で支払いをしなければいけません。円安が起こると、日本円に換算したときの費用が上昇してしまいます。例えば1泊1000ドルで泊まれるホテルの場合、1ドル=100円なら10万円ですが1ドル=130円なら13万円です。ホテル側が値上げしなくても、円安下では私たち日本人にとって等しく費用が上昇してしまいます。
逆に、訪日外国人は円安を喜んでいるかもしれません。円安は日本への旅行費用を押し下げるためです。例えば訪日外国人が日本で1万円のお土産を買うとき、1ドル=100円だと100ドルを支払う計算ですが、1ドル=130円なら約77ドルで済みます。
このように円安は立場によってメリットにもデメリットにもなります。海外旅行を計画する日本人にとっては頭が痛い状況ですが、訪日外国人によるインバウンド消費を期待する国内の観光業にとっては追い風といえるでしょう。
執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)
証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。