運用する商品を選択 ─ 加入者が意識すべきポイントを知る ─ 

今回は、DC運用を始める際、最初に難しく感じてしまう難関、商品選びについて少しお話したいと思います。なお、先に結論を申し上げると、運用する商品を選択する場合、絶対確実と言えるものは残念ながらありません。

なぜなら運用は加入者個々で行うものであり、加入者個々に対して一方的・強制的に商品指定をすることは禁じられているからです。加えて投資信託商品は日々変動していますので、その商品が絶対いくら評価益(利益)が出ると断言できないためです。こう言うと、運用初心者の方からすれば最後の最後で「あとは自分で好きに選びなさい」と言われているようで、積極的に運用することに抵抗を持ってしまうのは当然です。

では、この点を踏まえ、運用初心者の皆さんが何を基準に商品選びをするのがベターなのか、考えてみたいと思います。意識していただきたいポイント、それはアクティブ型(ファンド)/パッシブ型(ファンド)、それと信託報酬です。

アクティブ型(ファンド)/パッシブ型(ファンド)ですが、こちらは投資信託商品です。この2つに共通するのは、株価指数(株式市場等の平均値)を基準としているということです。この株価指数を基準として、その株価指数を上回る投資結果を目指す投資信託がアクティブ型(アクティブファンドとも呼ばれています)で、反対に、その株価指数と連動させた投資成果(リターン)を目指す投資信託がパッシブ型(パッシブファンドとも呼ばれています)です。

次に信託報酬ですが、実際の運用は各商品を提供する運用会社が皆さんに代わって管理・運用しています。その運用代行費用の他に、商品販売会社や信託銀行それぞれに費用負担が発生しており、その合算の手数料(年率)を指します。

ポイントは「確実がないから最適を選ぶ」こと  

これらをご理解いただいた上で、私が皆さんに推奨したい商品選びについて、考え方のポイントをお話します。

DC運用を行う上で、利益を生むことができる商品が投資信託商品ですが、この投資信託商品を選択する際、選ぼうとする投資信託の資産クラス(株式や債券など)を選ぶことはもちろん、投資信託がアクティブ型か、それともパッシブ型か、ここにぜひ注目してみてください。

前述の通り、アクティブファンドは株価指数を上回る投資結果を目指して運用されている商品ですので、利益が大きく出る可能性は高いと言えます。ただ、その高利益は約束されたものでなく、あくまで『目指している』商品ですので、大幅な損益が発生する可能性もあります。こうしたリスクに関する考え方は、以前他のコラムでお話した通りです。

商品特性を比較した上で、運用初心者の皆さんに私がお薦めするのはパッシブ型ファンドです。将来どちらのタイプが利益を多く生むかは、加入者の皆さんが将来年金を受給する時の受給額の比較でしか判断できませんが、この20年間の両商品の運用実績を比較してみると、アクティブファンドがパッシブファンドより多く利益を生んでいるということは言い切れません。

すなわち、株価の推移に合わせた運用でも長期運用であるDCでは十分利益を生む可能性があるということ。アクティブファンドが生み出す利益は、スポット的に大幅な利益を生む確率は非常に高く、その生まれた利益に対して、ご自身で運用ができている加入者でしたら、利益が発生した時点でスイッチングやリバランスを適切に実行して確実に積み上げていくことができます。しかし初心者の皆さんは、まだご自身で適切な運用を行えない段階ですので、株価指数に基づいて自分の運用状況がどうなっているか判断しやすいパッシブファンドを選択される方がよろしいかと考えています。

最後に信託報酬です。これは運用代行に係る手数料と言いましたが、運用期間が長くなればなるほど、拠出金の合計額(含、評価益)は大きくなります。毎年その合計額に対して設定された年率をかけた額が発生(支出)しますので、実はこの信託報酬は馬鹿になりません。同じ種類・特徴を持つ投資信託商品どちらかを選択するのであれば、信託報酬の低い商品を選んだほうが、支出を抑えることができるのでお薦めです。